マウスの性的指向を後天的に変化させた実験

こんにちは、Lです。

 

前回、性的指向を変更する糸口?を見つけたので、引き続きそこを深掘りしてみましょう。

 

前回説明したD3受容体と抑制系GABA神経をキーワードに掘り下げていきます。

ヘテロセクシャルでも同性に性的に惹かれる回路が残存する

 まずはこちらの方の記事をどうぞ。

orihuret.

この論文のメインテーマを簡単に言うならば、「フェロモン信号を完全に消失したときに、マウスはどう変わるか」ということである。フェロモンを受容する鋤鼻器の信号を伝えるのに必要なTrpc2という遺伝子の変異体を作成して、フェロモン信号を完全に落としたところ、なんとびっくり、変異体メスは他のメスにマウンティングし、セクシーな声を上げ、腰を振り、(何も無いのに…)挿入しようという動きを見せたのである。

-中略-

さらに、筆者らは成体のメスマウスにおいて、鋤鼻器を外科的に削り取る事によっても同じ行動を示す事を報告している。

-中略-

さらに、フェロモン信号を感じられないTrpc2変異体の「オス」では、どうなるかというと「オスに対しても、メスに対しても求愛、交尾行動を示す」ことを報告している。つまり、相手がオスなのかメスなのか認識できていないのである(sexual discriminationの異常)。

驚いたことに、マウスはヘテロセクシャル(異性愛マウス)であっても、同性に交尾行動する脳の神経回路も保持しているようです。ただ、普段はそれが使われていなかったりシグナルを送るには発火しずらいんだろう。これは衝撃だった。

 

ヒトにも性的指向を後天的に変える分岐スイッチがどこかにあるのかもしれない。

 

これについてとある研究だと、マウスにおいて同じオスのフェロモン(ESP1)でもオスは攻撃、メスは性行動の受け入れに関わる受容体があるようだ。まさに分岐スイッチだね。

ここら辺の神経伝達の仕方を詳しく追っていきたい。

www.jst.go.jp

first.lifesciencedb.jp

副嗅球二次神経は,分界条床核,扁桃体内側核および後内方扁桃体皮質核へと軸索を投射する8).それらのうち,分界条床核および扁桃体内側核では,ESP1刺激にともないオス・メスともにc-Fos発現細胞の数が上昇した.一方,後内方扁桃体皮質核では,メスにのみc-Fos発現細胞の数の上昇が認められた.さらに,分界条床核,扁桃体内側核および後内方扁桃体皮質核の神経が軸索を投射する視床下部視索前野および視床下部腹内側野を調べると,ESP1刺激にともなって,視床下部視索前野ではオス特異的に,視床下部腹内側野ではメス特異的に,c-Fos発現細胞数の上昇が認められた。

オスとメスでは嗅覚に入った情報がそれぞれ別の部分に投射されている。

脳内の性欲が起きるメカニズムは、男性と女性では異なるらしい。

そう言えば、男性は食欲が満たされたら性欲は減るけど、女性は逆だったりと。

(好きな女性をデートに誘い、綺麗なレストランで、コース料理をゆっくりと食べて、満腹中枢を満たさせるのは理に叶っている訳だ。)

 

www.jst.go.jp

 

性行動について脳内の神経伝達ネットワークを詳しく知りたいなら、ここを読むと良いよ(マウスについてだけど)。事前知識が不足しているから、読むだけでかなり大変だった。

www.ncbi.nlm.nih.gov

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

図2を見てみると、Male mating とMale aggressionはどちらも腹内側核(VMH)を最後は伝わっている。

刺激の強さでマウント行動と攻撃を切り替えている。実に興味深い…。

 Interestingly, low intensity stimulation of VMHvl Esr1+ or MeApd Vgat+ neurons leads to mounting, whereas high intensity stimulation leads to attack, suggesting the possibility that mounting and attack could be controlled either by different subpopulations of neurons with different activation thresholds, or by the amount of neurons that are being recruited.

 

これは、その前の扁桃体(MeApd)や分界条床核(BNST)を経由することで、VMHの応答性が変わるのかもね(あくまで推測)。それで、刺激の強度が変わって攻撃とマウント行動を切り替えているのかもしれない。

 

なら、起点のMeApdから考えていきたい。

MeApdのV gat+というのは小胞GABAトランスポーターのことらしい。

GABAをたくさん作動させときゃ良いってことか?(小並感)

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分界条床核の性的二形性

私は、この分界条床核(BNST)にも興味がある。

この脳部位は、マウスでは性的二形性が確認されたらしい。

monoist.atmarkit.co.jp

 

この情報伝達にはドーパミンが関わっているようだ。BNSTからVMHへの伝達がGABA A受容体α1によって抑制されているらしい。

news.mynavi.jp

このGABAによる抑制神経が働かないということは、同性にも惹かれる。

うーん、前の記事のGABA神経と性的指向の関係ついては、今ある情報だけで考えるなら全て辻褄が合ってしまうような。

しかし、だとしたらD3受容体を刺激するとバイセクシャルになるはずだが、実際は同性愛になっているから、まだまだ深掘りする必要があるね。

加えて、これらの脳部位は性的活動以外にも関与しているはずです。私の推測は性行動とは別の生理的作用を見て、あれこれ議論しているだけかもしれない。

 

GABA神経の働きを強めてやる

D3受容体活性化→GABAの働きを弱くする→同性愛傾向と言うなら、GABAの働きも合わせて強めてやれば同性愛傾向は弱まるのではないか?

(これは異性愛に変更というか、同性に性的に惹かれる神経伝達をどこかでストップさせる理屈だが。)

 

GABA-A作動薬はあるのか?と思ったらあった。候補に上がったのは、アカンプロセート。

やはりというべきか、アルコール「依存」の治療薬として用いられている。 

扁桃体のところでもGABAについては出てきたしなあ。

試す価値はありそうだ。

 

今回の話はマウスでの研究であり、マウスであることがヒトも同様とは限らない。

こういった研究は、何の種の知見かを区別する必要がある

とは言え、(今の医療技術では無理でも)ヒトも的指向を変更できる可能性を示している。

 

今回はあまり触れなかったが、マウスオスでは分界条床核主核が大きく、メスで分界条床核背側外側部が大きいらしい。

今後は、分界条床核(BNST)の中のそれぞれの役割や内部で関与しちえる神経伝達物質についても、深く追求していきたい。

 

続・面白かったら良いね・拡散してね! 

ー注意点ー

①同性愛自体を否定しているのではありません。本人の自由だと思います。ただ、性的指向は変更する自由と権利があります。

 

②ここで取り上げている薬は本来は別の用途で使うものであり、薬自体に副作用があります。飲むことを勧めている訳ではありません。 

あくまで、自己責任で。私はやってみようと思うけど、やるにしても、当日・翌日は大事な仕事や、運転など人命に関わる作業がない日に試してください。

 

③あくまで、生物学オタクが書いた文章ですので、内容が間違っている可能性もあります。間違っていたら教えてね!)詳しくは自分でも調べてください。

 

 

 

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