こんにちは、Lです。
今回も、性的指向は変えられる可能性を紹介シリーズです。
生物は脳の中で縄張りへの侵入者や交尾相手と行った情報を様々な脳部位処理して行動しています。
Neural Circuit Mechanisms of Social Behavior
今回は扁桃体(Amygdala)について。
- 扁桃体(MeApv)で、出会った相手に合わせて情報を仕分けする
- 扁桃体(MeApd)を弱い刺激をするとオスがオスにもマウント行動(性行動)する
- 扁桃体の脳機能をイジる生物はいる
- では、どんな薬を飲んだらいいの?
Contents
扁桃体(MeApv)で、出会った相手に合わせて情報を仕分けする
MeAとは内側扁桃体で、pvとは後腹部のこと。
マウスのオスとメスでは、フェロモンを感知した後の脳の情報の処理の仕方が異なる。例えば、
オスが知らないオスの匂いを感知したら「縄張りに誰か来たぞ」、
メスの匂いなら「交尾にふさわしい相手か」、
蛇とかの天敵なら「ヤバい逃げろ!」と分けて考えるわけだ。
このように、MeApvはESP1の情報を受け取る際、シグナルを伝達するルートを性別により変更する“スイッチ”として機能することが分かりました。これは、ESP1が雌雄において異なる作用を持つための神経基盤と考えられ、性別による脳神経回路の機能的な差異を研究するための優れたモデルを提供するものです。
EPS1はオスのフェロモンだ。
さらに、MeAについての研究は進んでいる。
扁桃体(MeApd)を弱い刺激をするとオスがオスにもマウント行動(性行動)する
MeApdとは内側扁桃体後背部のこと。
MeApdのGABAニューロンを人工的に刺激することで(論文では弱い刺激を与えることで)、なんとオスがオスにもマウント行動するようになるのだ。
Indeed, low intensity stimulation triggered mounting behavior towards intact and castrated males, as well as female intruders.
ちなみに、MeApdのグルタミン酸ニューロンを刺激すると、オスのメスへの交尾行動が減るらしい。グルタミン酸ニューロンは自己グルーミングを促進する。動画も載っていて、ひたすら毛繕いするマウスを見て興味深かった。
つまり、MeApdのグルタミン酸ニューロンとGABAニューロンの活動が社会性のバランスを担ってもいるわけだ。この論文は、精神疾患や自閉症といった病状に関して、この知見が有望だとまとめていた。
実際に、自閉症にメマンチンが有効ではないかという知見があるらしい。
自閉症などの病的な繰り返し行動 脳のグリア細胞異常に起因 | 臨床検査技師(MT)求人・募集転職情報【検査技師人材バンク】
同グループは、グルタミン酸をグリア細胞内に取り込み、その過剰状態を防いでいるグルタミン酸輸送体GLT1に着目。GLT1をさまざまに欠損させたマウスを作製したところ、行動の激しい反復が見られ、突発的な全身の震えなどに大幅な回数の増加があった。
ー中略ー
そこでグルタミン酸受容体を阻害し、神経活動を抑制する作用があるメマンチンをこのマウスに投与。その結果病的な繰り返し行動は即効的かつ強力に抑制されることが明らかとなった。
メマンチンの知られている作用機序からも、自閉症への可能性は十分に考えられる。 どうも、MeApdのGABAニューロンがマウント行動へキューを投げることの引き金となっているようだ。
しかし、薬ってどの受容体に作用するって知見が分かったとしても、どこの脳部位に作用するかまでは素人的には分かりにくい。全ての脳部位に平等に作用するのだろうか?
有効だったという知見を見ると、メマンチンは扁桃体にも作用するという仮説がたつね。
ちなみに、このメマンチンは、認知症の方の異常性欲を抑えるにも有効らしい。この理屈はよく分からない。
話を戻して、
この論文ではMeAのGABAニューロンに強い刺激を与えると攻撃的、弱いとマウント行動となる。 だから、同性愛者はGABAの働きが弱いのではないかと思う。
グルタミン酸神経をいじることができているのだから、GABA神経をいじることだって可能性としてはあるだろう。
MeA内での性差について遺伝子レベルで調べている論文もある
この論文は、子育てという行動についてを論点に持ってきて論じている。しかし、その過程でMeAでの発言している遺伝子の違いについても述べているので、性行動についても参考になる部分はあるだろう。
面白いことに、男性の場合、MeAでのGABAニューロンの刺激が低いと子育て行動を促進するが、刺激が強いと子殺し行動を促進するようだ。(女性の場合は、刺激が強くでも子殺しは起きない)
ここも、「刺激の強さに依存して反応が真逆になる」が出てきました。どこかに閾値があって、その上下で反応が異なるんだね。
BNSTprでの反応の強さによって、オスとメスを識別しているでも出てきました。
グルタミン酸神経については、性差は見られなかったそうだ。一方の、GABA神経については差が見られた。その差があった遺伝子についても、記載されている。
細胞接着(Vstm5、Robo1、Cbln2)、イオンチャネル機能(Cacna1c、Kcnip4 )、およびGタンパク質共役受容体シグナル伝達(Gpr75、Gpr176、Galr1 )に関わる遺伝子だそうだ。
参考文献:
Modular Genetic Control of Sexually Dimorphic Behaviors – ScienceDirect
個人的には、この扁桃体の性分化が同性愛者は女性脳のままなのではないかと思う。 脳科学について少し勉強したことがある人は分かるだろうが、もともと脳の原型は女性と言われている。 これが、Y染色体によって男性脳に分岐する。
扁桃体の脳機能をイジる生物はいる
この辺を弄ることができたら、性的指向は変えられるんだろうなあと夢とロマンあふれる話なのだ。 実は、この変更を行っている生き物はいる。そいつは、トキソプラズマだ。
トキソプラズマは人間も感染しうる脳寄生虫らしいけど、ネズミに感染したら猫にわざと食べられるようにネズミを仕向けるらしい…。普通、ネズミは猫に匂いを感知すると、「ヤバい猫が近くにいる!」と忌避反応を起こす。しかし、トキソプラズマは扁桃体の神経回路をイジるのか?猫の匂いに性的魅力を感じるように仕向けるらしい。なんて生存戦略だ…。
トキソプラズマがマウスの脳でのどんな変化を起こしているかのついて研究している論文もある。
Glutamate signalling in the brain may also be “altered” with infection. Recent data has observed increased extracellular glutamate with chronic infection and a two-fold reduction in expression of the glutamate transporter (GLT-1) in glial cells.
グルタミン酸輸送体(GLT-1)が二倍も減っているのだ。このグルタミン酸輸送体とは、シナプス間のグルタミン酸濃度を減らす役割があるようだ。一般的に、グルタミン酸が過剰だと、細胞は死んでしまうらしい。このGLT-1が減るということは、シナプス間のグルタミン酸が増えるということだ。
扁桃体でもこのような変化が起きているのだとすると、今までの話は一本筋の通る話なのだ。
ここで言いたかったのは、このように扁桃体内の敵対・交尾相手・忌避相手の配線を変更することができるということ。トキソプラズマの予想の上をいく生存戦略のメカニズムを解析するれば、同性愛の性的指向だって変更できるだろう!
では、どんな薬を飲んだらいいの?
私が考えていることは、てんかんの薬だ。グルタミン酸の興奮神経を抑制して、GABAの抑制性神経を増強するように働く。これだけ聞けば、まさにぴったりな薬だ!
興味深い発見があったら記事にします!!
完・面白かったら・いいね拡散してね!
ー注意点ー
①同性愛自体を否定しているわけではありません。しかし、性的指向を変更する自由と権利はあります。
②あくまで素人が調べて書いていることですから、間違えている可能性は十分にあります(間違っていたら教えてね!)。ここで紹介した内容を自分でも調べてください。
コメントを残す